介護保険制度が始まってから、医療行為(医行為)が拡大解釈され
てたりすることもあり、現場では混乱が生じたため、原則医療行為
ではない項目が整理されました。
原則医行為ではないと考えられる16項目
(2005年7月厚生労働省通知)
爪切り、検温、血圧測定、内服薬の介助、湿布の貼り付け
軟膏塗布、点眼、坐薬挿入、浣腸、パルスオキシメーターの装着
耳垢の除去、口腔内の清潔、ネブライザーの介助、軽い傷等の処置
自己導尿のカテーテルの準備や体位保持、ストーマ装具のパウチに
溜まった排泄物を捨てる など
体温測定
水銀体温計、電子体温計での腋の下での体温測定
耳式電子体温計での外耳道の体温測定
血圧測定
自動血圧測定器での血圧測定
パルスオキシメーターの装着
新生児以外の入院治療の必要のない人に装着
軽い傷などの処置
軽い切り傷、擦り傷、やけどなどで、専門的な判断や技術を必要と
しない処置
汚物で汚れた場合のガーゼ交換
*応急手当の場合は専門職以外でも適切な処置が必要になります。
爪切り
爪そのものに異常がない
爪の周囲の皮膚に化膿や炎症がない
糖尿病などの疾患に伴う専門的管理が必要でない
上記の条件が全て揃った時に、爪切りで爪を切ったり、爪やすりで
やすりがけが可能
口腔内の刷掃、清拭
重度の歯周病などがない場合に実施可能
歯ブラシ、綿棒、巻き綿子などで、歯、口腔粘膜、舌に付着した
汚れなどを取り除きます。
耳垢の除去
耳垢塞栓の除去を除く
*耳垢塞栓とは、耳垢が固まって耳の穴(外耳道)が塞がれた状態。
この状態になると専門的な処置が必要になります。
ストーマ装具のパウチに溜まった排泄物を捨てる
肌に装着したパウチの取り替えは除く
*パウチ交換は専門的な観察や処置が必要になります。
自己導尿のカテーテルの準備や体位保持
浣腸
市販のディスポーザブルグリセリン浣腸器(使い捨ての浣腸器)を
使用
*挿入部の長さが、5~6cm程度以内、グリセリン濃度50%
容量
成人用の場合で40g程度以下、
6歳~12歳未満の小児用の場合は、20g程度以下
1歳~6歳未満の幼児用の場合は、10g程度以下
皮膚への軟膏の塗布(褥瘡の処置を除く)、皮膚への湿布の貼付
点眼薬の点眼、一包化された内用薬の内服(舌下錠の使用も含む)
肛門からの坐薬挿入、鼻粘膜への薬剤噴霧。
◎医薬品の使用の介助に対しての前提条件
介護職員が医薬品の使用の介助が出来る3つの条件
①対象者の方が、入院、入所して治療する必要がなく容態が安定
していること
②薬の使用に関して医師や看護職員による連続的な経過観察が必要
でないこと
*副作用の危険性の有無や投薬量の調整などの為には専門的な観察
が必要
③介助する医薬品の使用方法そのものについて専門的配慮が必要で
ない場合
*例えば、内用薬の場合は誤嚥の危険性が高い人や、坐薬の場合は
肛門からの出血の危険が高ければ、専門的な配慮が必要になります。
医師、歯科医師又は看護職員は、上記の条件を確認します。
3つの条件全て満たしていたら、医薬品の使用の介助が出来ること
になります。
専門職でなくても介助できることを本人又は家族が知っていること
が必要です。
本人又は家族の依頼があれば、処方された医薬品の服薬指導を受け、
看護職員の保健指導、助言を守り介助することになります。
上記項目は一般家庭でも普通に実施されている項目も多くありますが、
それらを業、仕事として実施する場合は、さらなる安全性が問われる
ことになります。
続きはこちらです→ 制度下での介護職員等の医療行為
■参考・引用文献
インターネット
厚生労働省HP内
医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の
解釈について(通知)
www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000g3ig-att/2r9852000000iiut.pdf