介護職員等がやむを得ない措置として医療行為の一部が実施できる
場所は在宅と特養に限られていました。
又、実施に際してはいくつかの条件がありました。
在宅介護の場合の痰などの吸引
口腔内(咽頭の手前まで)、鼻腔内、気管カニューレ内
* 経管栄養に対する行為は在宅の場合は含まれていませんでした。
定期的に実施されるケースが多く緊急性がないためと、経管栄養の
チューブの確認や接続、注入開始などは専門性が高く、危険性も
高いため実施できませんでした。
特別養護老人ホームの場合
☆平成21年9月~12月に、全国125施設でモデル事業による検証が
実施されました。その結果を踏まえ、平成22年4月から全国の特別
養護老人ホームで実施可能になりました。
口腔内(咽頭の手前まで)
具体的なケア
・必要物品の準備など
・対象者への説明と環境整備
・口腔内の吸引と観察
・看護職員(ケア責任者)に報告
・後片付け
*排液瓶(吸引瓶)は70%~80%になる前に捨てる
・記録(施行時間や施行者名など)
胃瘻による栄養管理
具体的なケア
・必要物品の準備など
・注入中の定期的な観察。
・注入終了後の微温湯(白湯)又はお茶などを注入し、
チューブ内に残った栄養剤を流しいれる。
・食事が終わった後の対象者の状態観察
・看護職員(ケア責任者)に報告
・後片付け
・記録(施行時間や施行者名など)
*看護職員が実施する内容
・胃瘻の状態に問題がないかどうか確認
・栄養チューブなどの接続と開始
条件付きで実施可能な医療行為
・痰などの吸引は、口腔内(咽頭手前まで)と、鼻腔内
・経管栄養は、胃瘻、腸瘻、経鼻の一部
実質的違法性阻却論とは?
違法とは、法律に違反することです。
阻却とは、しりぞけることです。
文字どおりの意味としては、法律違反をしりぞけること。
広辞苑には、「違法性阻却」の意味として、
「形式的には法令に反し、違法を推定される行為であっても、
特別な事由があるために違法ではないとすること」
と記載されています。(広辞苑より抜粋)
特別な事由として刑法では、正当防衛、緊急避難、正当行為
の3つがあります。
実際に行った行為が、正当化されるだけの理由があるか否かを、
実質的に行い、正当化されるときは、違法ではないとされる
考え方のことを実質的違法性阻却論というようです。
続きはこちらです→ 実質的違法性阻却論により医療行為が実施出来た条件
■参考・引用文献
インターネット
厚生労働省HP内
介護現場等におけるたんの吸引等を巡る現状 6ページ
www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000bhqz-att/2r9852000000bjio.pdf
看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会(第6回)
「家族が行う「たんの吸引」に関する整理」
・家族が行う「たんの吸引」に関する違法性阻却の考え方
・家族が行う「たんの吸引」の手段の相当性について
www.mhlw.go.jp/shingi/2003/04/s0415-2a.html
介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会(第9回) 資料
www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001jvww.html
実質的違法性阻却論について
www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/tannokyuuin/dl/1-1-3-1.pdf
実質的違法論について
www.mhlw.go.jp/shingi/2004/05/s0531-11b4.html