◆家族に医療行為の一部が認められている理由
家族には例外として医療行為の一部は認められています。
その根拠となるのが 「違法性阻却事由」 という聞き慣れない
法律上の理由からきているようです。
◆「違法性阻却」とは?
違法とは、法律に違反することです。
阻却とは、しりぞけることです。
文字どおりの意味としては、法律違反をしりぞける
広辞苑には、「違法性阻却」の意味として、
「形式的には法令に反し、違法を推定される行為であっても、
特別な事由があるために違法ではないとすること」と
記載されています。(広辞苑より抜粋)
特別な事由として刑法では、正当防衛、緊急避難、正当行為
の3つがあります。
痰の吸引に関しての正当性などが認められる要件
*前提として、対象者本人が家族が実施することに同意している
ことが必要です。
①目的が患者さんの療養のためであること(目的の正当性)
②一定の条件の下で実施(手段の相当性)
・医師、看護師による患者の病状の把握
・医師、看護師による療養環境の管理
・痰の吸引に関する、家族への教育
・適正な痰の吸引の実施と医師、看護師による確認
・緊急時の連絡、支援体制の確保
③法益衡量
・家族が痰の吸引とういう違法性と考えられる行為をした場合の
法益侵害と、療養者本人の日常生活の質の向上とを比較したときに、
どちらが法益を達成できるか?
④法益侵害の相対性軽微性
・痰の吸引という行為が、比較的侵襲性が低い
・実施する人が、家族という特別な関係である
⑤必要性、緊急性
・痰の吸引が不定期
・家族の吸引が必要
*痰の吸引に限らず、経管栄養のケアにもあてはまります。
☆参考資料を読んでみましたが、私になりに理解した範囲内で
まとめてみました。正確性に欠ける部分もあるかもしれませんので
あくまでもご参考までに。
続きはこちらです→ 痰の吸引に対する経緯
■参考・引用文献
インターネット
厚生労働省HP内
介護現場等におけるたんの吸引等を巡る現状 6ページ
www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000bhqz-att/2r9852000000bjio.pdf
看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会(第6回)
「家族が行う「たんの吸引」に関する整理」
・家族が行う「たんの吸引」に関する違法性阻却の考え方
・家族が行う「たんの吸引」の手段の相当性について
www.mhlw.go.jp/shingi/2003/04/s0415-2a.html
介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会(第9回) 資料
www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001jvww.html
実質的違法性阻却論について
www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/tannokyuuin/dl/1-1-3-1.pdf
実質的違法論について
www.mhlw.go.jp/shingi/2004/05/s0531-11b4.html