社会福祉士及び介護福祉士法の一部を改正する法律(平成24年
4月1日から施行)が施行される前は、介護職員等の医療行為の一部
は、当面やむを得ない措置として、刑法では実質的違法性阻却論に
基づいて痰などの吸引と経管栄養に対する一部の行為が認められて
いる段階でした。
より安全に痰の吸引などの医療行為が実施出来るように、現場の
ニーズに沿う方向で、制度化への検討がいろいろされました。
2003年(平成15年)7月
当面やむを得ない措置として条件付きで、在宅における
ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者さんの痰の吸引が認められました。
2005年(平成17年)3月
当面やむを得ない措置として条件付きで、在宅における
ALS患者さん以外の療養患者さんや障害者の方の痰の吸引が認めら
れました。
☆吸引する範囲は、口・鼻腔内及び気管カニューレ内部
2010年(平成22年)4月
特別養護老人ホームでの痰の吸引に関しては、看護職員との連携
のもと、口腔内(咽頭の手前まで)の吸引は実施できる様になり
ました。
2012年(平成24年)4月
社会福祉士及び介護福祉士法の一部が改正され、法制度の下で
痰の吸引などの一部の医療行為が実施できるようになりました。
実質的違法性阻却論とは?
違法とは、法律に違反することです。
阻却とは、しりぞけることです。
文字どおりの意味としては、法律違反をしりぞけること。
広辞苑には、「違法性阻却」の意味として、
「形式的には法令に反し、違法を推定される行為であっても、
特別な事由があるために違法ではないとすること」
と記載されています。(広辞苑より抜粋)
特別な事由として刑法では、正当防衛、緊急避難、正当行為の
3つがあります。
実際に行った行為が、正当化されるだけの理由があるか否かを、
実質的に行い、正当化されるときは、違法ではないとされる
考え方のことを実質的違法性阻却論というようです。
続きはこちらです→ 実質的違法性阻却論により実施可能だった医療行為
■参考・引用文献
インターネット
厚生労働省HP内
介護現場等におけるたんの吸引等を巡る現状 6ページ
www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000bhqz-att/2r9852000000bjio.pdf
看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会(第6回)
「家族が行う「たんの吸引」に関する整理」
・家族が行う「たんの吸引」に関する違法性阻却の考え方
・家族が行う「たんの吸引」の手段の相当性について
www.mhlw.go.jp/shingi/2003/04/s0415-2a.html
介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会(第9回) 資料
www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001jvww.html
実質的違法性阻却論について
www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/tannokyuuin/dl/1-1-3-1.pdf
実質的違法論について
www.mhlw.go.jp/shingi/2004/05/s0531-11b4.html