◆人工呼吸器の付加機能とは?
換気モードを有効に作動させる
ための機能になります。
PEEP(呼気終末陽圧)や
PSV(圧支持換気)などがあります。
●人工呼吸器設定の順番
① 換気様式を選択
量規定 o r 圧規定
② 換気モード選択
補助/調節換気(A/CMV)
同期式間欠的強制換気(SIMV)
自発呼吸モード(SPONT)など
③ 基本設定
呼吸回数(換気回数)
換気量、吸気圧、吸気時間、
吸気トリガー、酸素濃度など
④ 付加機能の設定
PEEP、PSV など
人工呼吸器の設定は人工呼吸器の
種類やメーカーにより多少異なり
ますが、基本的な考え方は同じです。
◆PEEP(呼気終末陽圧)
自発呼吸があっても無くても
設定することが出来ます。
器械的な換気(強制換気)はせず付加機能になります。
呼気の気道内圧が0にならない
ように、一定の陽圧がかかった状態です。
通常は呼気終末時の気道内圧は
0になりますが、陽圧の状態で
吸気に移行すると、肺胞の拡張を容易にします。
気道内圧が0の状態の時は肺胞
は萎んだ状態ですが、陽圧が
かかっていれば少し膨らんだ状態になっています。
肺胞内での残気量が増して、
酸素分圧の改善が期待できます。
又、肺胞などの虚脱や閉塞を防止することも出来ます。
反面、気道内圧、胸腔内圧が
高くなるため、気胸や循環抑制
などの合併症のリスクが高くなります。
換気量が同じ場合、PEEPが
かかっていると陽圧の状態から
換気が入るため、ピーク時の気道
内圧はPEEPがかかっていない状態に比べ高くなります。
◆PSV(圧支持換気)について
自発呼吸がある場合に選択されます。
器械的な換気(強制換気)は行わず、付加機能になります。
患者さんの自発呼吸に完全に依存しています。
自発呼吸(吸気努力)を感知
(トリガー)して設定された圧で
気道内圧を保持し患者さん自身
の吸気が終われば圧を解除する方法です。
気道や肺に問題がなければ、
患者さんの呼吸仕事量を軽減することが出来ます。
吸気時間、一回換気量、換気
回数は全て患者さんに依存しています。
より自然な呼吸に近くなるため
患者さんの自発呼吸との同調性は良くなります。
支持圧を徐々に減らしていく
ことで人工呼吸器からの離脱
(ウィーニング)をよりスムーズに行えます。
自発呼吸がかなり弱かったり、
無い場合は換気は行われません。
上記以外にもEIP(吸気終末
ポーズ又はプラトー)やVSV
(量支持換気)など他にもいくつかあります。
PEEP(呼気終末陽圧)と圧支持換気(PSV)の違いは?
PEEPは呼気時の気道内圧が
ゼロにならないように一定の陽圧がかかった状態です。
PEEPは全てのモードに使用できます
自発呼吸があっても無くても設定できます。
PSVは吸気相のみ陽圧をかけます。
吸気が終わったら、圧を解除します。
PSVは自発呼吸に全て依存し
ている為、自発呼吸がないと単独では設定できません。
●人工呼吸器関連用語・略語
I P P V
侵襲的陽圧換気
Invasive Positive Pressure Ventilation
A / C M V 又は A / C
補助/調節換気
Assist/Controll Mechanical Ventilation
又は Assist/Controll
C M V
調節換気
Controlled Mechanical Ventilation
持続強制換気
Continuous Mandatory Ventilation
A M V
補助換気
Assisted Mechanical Ventilation
S I M V
同期式間欠的強制換気
Synchronized Intermittent Mandatory Ventilation
I M V
間欠的強制換気
Intermittent Mandatory Ventilation
S P O N T
自発呼吸
Spontaneous Breathing
C P A P
持続的気道内陽圧
Continuous Positive Airway Pressure
*シーパップ
P E E P
呼気終末陽圧
Positive End-Expiratory Pressure
*ピープ
P S V 又は P S
圧支持換気
Pressure Support Ventilation
E I P
吸気終末ポーズ又はプラトー
End-Inspiratory Pause 又は Plateau
V S V
量支持換気
Volume Support Ventilation
続きはこちらです→ 人工呼吸器のしくみについて
◇参考文献
書籍
「はじめて人工呼吸器」メディカ出版 p34~p36
「ナース必携最新基本手技AtoZ」小学館 p67~p71
「器械的人工呼吸マニュアル」ナース専科 文化放送ブレーン p11~p20
「呼吸サポートチームのための呼吸管理セーフティーBOOK」MCメディカ出版 p224~p226
「気管吸引のガイドライン完全準拠わかる!できる!気管吸引あんしん教育ガイド」MCメディカ出版 p82~p91
「ロールプレイで学ぶ 呼吸ケア・呼吸管理のキーポイント」メディカ出版 p250
「介護職員等のための医療的ケア 喀痰吸引・経管栄養等の研修テキスト」ミネルヴァ書房 p68~p69
「実践できる在宅看護 技術ガイド」学研 p130
「人工呼吸ケアのすべてがわかる本」照林社 p18~p25
インターネット
医薬品医療機器情報提供HP内
医療機器の添付文書情報 検索例:人工呼吸器
//www.info.pmda.go.jp/ysearch/html/menu_tenpu_base.html
ウィキペディアHP内
//ja.wikipedia.org/wiki/人工呼吸器