口腔ケアの実践


ここでは気管切開で人工呼吸器

を装着している場合の口腔ケア

の例を簡単にまとめてあります

対象者の状態やケアする人に

より必要物品や細かな手技等は

異なる部分もありますので、

一つの例としてご利用ください。

 

◆対象者が仰臥位の時の口腔ケアの実践 例

必要物品や対象者の準備等が整

ったら口腔ケアの実践に入ります。

仰臥位(ベッドアップ30度~

45度)で誤嚥を予防する為に

顔を横に向け、頭部をやや前屈

させた姿勢で口腔ケアを実施します。

義歯がある場合は取り外しておきます。

 

口腔ケアしている時はカフ圧を

少し高めに設定し終了後は必ず

適正な圧に戻します。

 

●口腔内の清拭・洗浄・消毒・保湿 例

①口唇を湿らす

唇が乾燥していると口を開いた

時に出血する場合があるため

水を含んだガーゼなどで湿らします。

 

②口腔内をライトで照らす

口腔内がよく観察できる様に

ライトで照らします。

開口が困難な場合は開口器や

バイトブロックなどで保持します。

 

③口腔内を湿らす

口腔内に乾燥したところがあれ

ば水等を浸み込ませたガーゼや

スポンジブラシなどで湿らすと

同時に食物残渣物などを取り除きます。

特に口唇と歯茎の間や歯茎と

頬の間は残渣物が溜まり易いので注意します。

ガーゼを使用する場合は人差し

指に巻いて拭き取ります。

ガーゼやスポンジブラシを湿ら

す時は余分な水気はよくきっておきます。

 

④歯ブラシでブラッシング

歯ブラシの先を洗って水分を

ガーゼ等よく拭き取ります。

歯ブラシに歯磨き剤を少量つけます。

歯ブラシは鉛筆を持つときと

同じ持ち方をした方が操作がし易いです。

歯全体を1本ずつしっかりブラッシングします。

歯と歯の間、歯と歯肉の境は

小刻みにブラッシングします。

 

⑤デンタルフロスや歯間ブラシで清掃

歯ブラシだけでは清掃が困難な

歯と歯の間をデンタルフロスや

歯間ブラシ等を使用して歯垢を除去します。

口腔ケア中は唾液腺が刺激を

受けるため唾液が貯留しやくすなります。

取り除いた歯垢や歯磨き剤等が

混ざった唾液を誤嚥させない様

にその都度、ガーゼで拭き取っ

たり、吸引管などで吸引します。

 

⑥舌や口蓋などの清掃

舌の上面(舌背)の舌苔に対し

ては専用の舌ブラシやスポンジ

ブラシなどを使用します。

舌ブラシは舌の奥から手前に向けて軽く擦ります。

口蓋や頬の粘膜等はスポンジ

ブラシやソフトガーゼ等を使用

して付着物を取り除きます。

1回で取り除くことが出来なか

ったら数回に分けて実施します。

舌や口蓋等が乾燥している場合

は保湿ジェルなどを塗布して、

軟らかくしてから除去すると

粘膜の損傷を防ぐことが出来ます。

奥の方から手前に向けて清拭します。

 

⑦洗浄・吸引(自分でうがいが出来ない場合)

歯磨き剤や除去された歯垢等を

きれいに取り除きます。

洗口液などを使用して洗浄します。

洗浄液を口腔内に注入する時は

注射器やスポイト等を利用すると便利です。

誤嚥しないように吸引管や吸引

チューブ付きの歯ブラシ等でしっかり吸引します。

 

⑧保湿剤の塗布

口腔内や口唇の乾燥が強い場合は保湿剤を塗布します。

 

 

●義歯の清掃

義歯専用の歯ブラシか少し固めの歯ブラシで磨きます。

流水にかけながらブラッシングします。

通常の歯磨き粉には研磨剤が

含まれている為、歯磨き剤は使用しません。

義歯に細かい傷がついたり擦り減ったりします。

使用する場合は義歯専用の歯磨き剤を使用します。

変形や破損しないように注意します。

義歯専用の歯ブラシを使用する

と手入れがし易く、破損等の

リスクがより低くなります。

 

介護職員等の方が実施する場合

は医師や看護職員等からの指導

などをふまえ、対象者に合った

安全で効果的なケアが出来るように検討しておきます。

口腔内の細菌の繁殖について

口腔ケアで細菌が減少しても

5~6時間後には元に戻るといわれています。

継続的に口腔ケアを実施する

ことで徐々に細菌数は減少する

と言われています。

 

口腔ケアの回数

一般的には4時間ごとに実施

すると良いと言われている様で

すが、対象者の状態や介護する

方の状況も考慮して検討することが必要です。

回数よりも歯垢を確実に除去

することがより重要になります。

 

洗口液について

口腔内を洗浄する為の洗口液

には緑茶や白湯、水道水等

家庭内で準備できるものから

消毒剤や消炎剤、保湿剤、

口臭予防剤、清涼剤等が配合

された市販のものまで色々あります。

口腔内の状態や個人に合った

洗口液を選択することが必要になります。

続きはこちらです→ 口腔ケアのまとめ

 




人工呼吸器装着時の介護 項目一覧


◇参考文献

書籍

「呼吸サポートチームのための呼吸管理セーフティーBOOK」

メディカ出版 p142~p144 p181~p182

「人工呼吸ケアのすべてがわかる本」照林社 p229~p230

「実践できる在宅看護技術ガイド」学研 p151~p154

「介護職員のための医療的ケア」ミネルヴァ書房 p120

「気管切開 最新の主義と管理」改訂第2版 医学図書出版株式会社 p147~p148

 

インターネット

ウィキペディアHP内

//ja.wikipedia.org/wiki/口腔ケア