タッピング(カッピング)の目的


①痰などを剥がれやすくする

気管、気管支、肺胞などに付着

している痰や異物を体外に出や

すくする為。

叩くことにより振動を与え、

気管や気管支などの壁に付着し

ている痰等を剥がれやすくする

効果が期待できます。

 

②肺炎(沈下性肺炎など)の予防

痰等の排出が困難で、寝たきり

の状態が長期間続くと分泌液等

が肺に貯留しやすくなります。

細菌などが進入した場合は、

そこで増殖し肺炎を併発するリスクが高まります。

タッピングすることで肺の奥に

溜まった分泌物などを剥がれや

すくし、移動を助けます。 

 

*タッピングだけではなく、

バイブレーション、体位変換、

体位ドレナージも沈下性肺炎の

予防につながります。

 

 

タッピングの方法


①掌をお椀の様な形にします

(水を手ですくう時の形)

掌に空間をつくることで叩く時

負担が軽くなり、効果も高くなります。

実際自分の胸を叩いてみるとわかると思います。

掌をのばしたまま叩く時と、

空間をつくって叩くときとでは

痛みも違いますし、効果も違います。

 

②リズミカルに叩く

叩く時は力をあまり入れず軽く

「ポン、ポン、ポン」と細かく

リズミカルに叩きます。

 

 

叩く部位


●前胸部、側胸部、背部

叩く部位は、背部と胸になります。

(前胸部、側胸部、背部)

 

本人の意識がしっかりしていれ

ば、痰が絡んでいる部位がわか

りますので、右か左か上か下か

などわかると思いますので確認

しながら実施すると効果が高くなります。

 

乳幼児や意識がしっかりして

いない方に対しては、聴診器が

あれば確認できますがない場合

は、背部や胸全体をタッピングします。

 

 

 

 

効果的な方法


●聴診器の使用

聴診器で聴診すると喘鳴(ゼイ

ゼイやヒューヒュー等の音)が

確認できますので聞こえる部位

を重点的に叩くと効果的です。

 

●手や耳で確認

聴診器がない場合は、手や耳を

当てるだけでもわかる場合もあります。

胸全体に両手をあてると振動が

伝わってくる時もあります。

 

●痰の存在している部位を上にする

痰がからんでいる部位を上にし

てタッピングすると重力の関係

で下のほうに痰などが移動しやすくなります。

 

●全体的にタッピングする

部位に関係なく一度は全体的に

背中や胸をタッピングしてから

痰が絡んでいる部位をタッピン

グしていくといいと思います。

 

痰が気道の上方に移動し難い

場合は可能であれば上体を低く

前屈みにしてタッピングすると

さらに痰が出やすくなります。

 

 

タッピングするタイミングは?


・痰が絡んでいるとき

・痰の吸引をする時

・ネブライザーなど吸入をした後

・体位交換する時 など

 

 

注意すること


乳幼児の場合は嫌がらない様に

より軽くタッピングします。 

 

本人の状態を観察しながら実施してください。

叩く強さも個人によって違いま

すので、本人に程度を確認しな

がら、苦痛をなるべく与えない様に実施して下さい。

 

タッピングとカッピングの意味は?

タッピングの意味は「軽く叩くこと」

カッピングは「手などを杯状にすること」 

いろいろネットで調べてみまし

たがどちらも同じような方法で

実施されている場合も多いようです。

単にタッピングと言えば、掌を

のばした状態で軽く叩くという

意味にもなると思います。

続きはこちらです→ 体位交換、体位ドレナージ

 


痰を出しやすくする方法 項目一覧

痰を出しやすくする要因

 

タッピング(カッピング)

目的・方法・叩く部位

効果的な方法・注意すること

タッピングするタイミングは?

タッピングとカッピングの意味は? 

 

体位交換、体位ドレナージ

目的・体位変換の方法

体位ドレナージの方法

 

バイブレーション

 

ネブライザー(吸入器)の使用

目的・原理・種類

ネヴライザーの方法

ネブライザーの注意点

喘息の治療として吸入する場合

吸入薬

 

水分補給、うがい、加湿

 

スクイージング、ハフィング

目的・スクイージングの方法

ハフィングの方法

 

医療機器の使用による方法

 

効果的な痰などの排出方法

 


◇参考文献

書籍

「写真でわかる基礎看護技術①看護技術を基礎から理解!」インターメディカ 

「一歩先行く呼吸リハビリテーション」(メディカ出版)

「医学大辞典」

「家庭医学大百科」

「広辞苑」