人工呼吸器の点検・確認は、
人工呼吸器の組み立て(各機器
の接続)をする時、各設定を行う
時、動作確認をする時、呼吸器
を使用している時、定期点検を
する時などに行われます。
◆人工呼吸器使用中の主な点検・確認項目とチェック方法 例
人工呼吸器の事前チェックを
して問題がなければ人工呼吸器
を対象者に装着することになります。
装着中は対象者の全身状態の
観察と人工呼吸器との同調や
対象者の胸郭の動き、呼吸の
リズム、呼吸音、気道内の
分泌物などの観察が重要になります。
又、分泌物を吸引する場合は、
呼吸器合併症を防止することも大切になります。
使用中の人工呼吸器のチェック
は異常がなくても訪問ごとに実施します。
●人工呼吸器との同調の確認
人工呼吸器が問題なく作動し、
対象者の呼吸と同調していることを確認します。
胸郭の動き、呼吸のリズム、
呼吸音、口唇色、顔色、表情
脈拍などの全身状態を観察し、
異常がないことを確認します。
人工呼吸器のモニターを見なが
ら、設定通りになっているかチェックします。
呼吸器本体の焼ける臭いや雑音
など、いつもと違う状態や、
可能であれば対象者本人からの
使い心地なども確認します。
●呼吸器回路のチェック
蛇管やコネクタ、ウォーター
トラップ、加温加湿器等に破損
や亀裂がないか、同時にリークがないか確認します。
各接続部分がきちんと正確に
接続されているか、回路の閉塞
屈曲の有無、ウォータートラッ
プの位置や傾きがないか等、
事前チェックと同様に確認します。
回路内の結露の状態も確認します。
チューブ内に水が溜まってい
ないか、ウォータートラップ内
に水が溜まりすぎていないか、
反対に乾燥していないか確認します。
回路内が乾燥した状態の時は
加温加湿器の水位や温度、電源の確認を行います。
室温が低いと回路内に水適(結露)が生じやすくなります。
●各フィルターの点検
呼気側、吸気側、人工鼻の
各バクテリアフィルターが埃等
で目詰まりしていないか確認します。
●機器周辺のチェック
人工呼吸器周辺の環境整備を行います。
電源コード、ガス供給ライン等
は床などに垂れない様に固定具
などを使用して邪魔にならないようにしておきます。
電源プラグが電源コンセントに
確実に接続されているか確認します。
テーブルタップなどは使用せず
予め壁面などに取り付けられて
いるコンセントを使用します。
呼吸器本体周辺には物を置かな
いようにして、壁から少し離し
空気の循環を妨げないようにします。
呼吸器本体は安定した安全な場所に設置します。
●その他
人工呼吸器本体のエアフィルターの点検
長期間使用する場合は、本体の
動作不良の原因になるため定期的に点検します。
バッテリー残量の確認
訪問ごとに確認します。
体動中と体動後の確認
人工呼吸器を装着した状態で
体を動かす場合は、体動中と
体動後に回路の閉塞、屈曲、
接続部分の緩みや外れなどがないか点検します。
ウォータートラップからのエアー(ガス)リーク
人工呼吸器の低圧アラームや
低換気アラームが作動する原因
には、回路の破損や接続不良、
気管切開チューブなどのカフ圧低下などがあります。
回路の接続不良で見落としがち
な箇所がウォータートラップになります。
回路内に水が溜まった場合は水抜きは欠かせません。
回路内の水抜きをする場合は
ウォータートラップの本体
(カップ)を回路から外して水を処理します。
蛇管に水が溜まっている場合は
ウォータートラップ内に水を移動させます。
水を廃棄した後はカップを丁寧に正確に再接続します。
確実に接続されたことを目と手で再確認します。
接続した後はリークがないか
音や換気量の変化はないか確認します。
水抜きの回数が多くなると確認
が安易になり易くなるため注意が必要です。
加温加湿器に関するヒヤリ・ハット事例など
加温加湿器内に給水する時に、
給水用ポートを使用せず、ガス
ポート(呼吸回路のチューブを
接続する部分)から給水しその後
回路のチューブを再接続する
のを忘れた事例が報告されています。
その他にも繰り返し報告されて
いる事例ではヒーターワイヤの
外れ、温度プローブの外れ、
給水忘れ、電源の入れ忘れなどがあります。
続きはこちらです→ 人工呼吸器使用後のチェック方法
◇参考文献
インターネット
医薬品医療機器総合機構HP内
人工呼吸の安全セミナーテキストp11 p15
http://www.pmda.go.jp/files/000144877.pdf#page=2
人工呼吸器の取扱い時の注意について(その1)
www.info.pmda.go.jp/anzen_pmda/file/iryo_anzen07.pdf
厚生労働省HP内
ウォータートラップにかかる安全使用対策について
www.mhlw.go.jp/shingi/2009/03/dl/s0306-9d.pdf
医療事故防止のための要点と対策 人工呼吸器
www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/1/torikumi/naiyou/manual/2a.html
人工呼吸器 ヒヤリ・ハット事例集
www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/1/torikumi/naiyou/manual/5a.html
書籍
「人工呼吸ケアのすべてがわかる本」照林社 p48~p49
「実践できる在宅看護技術ガイド」Gakkenn p132~p133
「気管吸引のガイドライン完全準拠わかる!できる!気管吸引あんしん教育ガイド」MCメディカ出版 p82~p85
「写真でわかる臨床看護技術2呼吸・循環、創傷ケアに関する看護技術を中心に!」
インターメディカ p82
「呼吸サポートチームのための呼吸管理セーフティーBOOK」メディカ出版 p198~p199
「はじめて人工呼吸器」メディカ出版 p62~p63
「ナース必携最新基本手技AtoZ 保存版」小学館 p76