ここでは主に介護職の方が在宅
で侵襲的人工呼吸療法を受けて
いる方に対するケアについてまとめてあります。
介護職員等の方がケアする場合
の対象者は状態が安定している方になります。
◆対象者に対する観察項目
●全身状態の把握
呼吸状態の確認。
顔や口唇色の観察。
四肢末端の皮膚の温度や色。
バイタルサインのチェック。
(脈拍、呼吸回数、体温など)
対象者への声かけ時の反応
など。
全身状態の観察では気管切開を
されている方で人工呼吸器を
装着していない時のケアと基本的には同じです。
詳細は下記をご参照ください。
*当サイト内
◆人工呼吸器のチェック
●正常に作動しているか
指示通りの設定になっているか
異常音はないかなど。
●呼吸器の電源のチェック
主要電源の差し込み口やバッテリーの確認。
●呼吸回路や付属品に問題はないか
破損や亀裂などがないか。
各接続部分がしっかりとつながっているか。
蛇管やウォータートラップ等に
水滴が溜まってないか。
加温加湿器を使用している場合
は温度や水の量は適切か。
人工鼻を使用している場合は
目詰まりがないか確認など。
◆気管切開に関する観察項目
・気管カニューレ内からの出血
の有無
・挿入部やカニューレの接触に
よる気道の痛みの有無
・切開部のガーゼなどの汚染の
有無(出血、浸出液など)
・気管カニューレの固定の状態
(きつすぎたり、緩んでいないか)
・皮膚の異常(固定紐等の接触
部分や気管カニューレ挿入部周辺の
皮膚損傷の有無)
・気管カニューレのカフの状態
(エアリークの有無)
など
人工呼吸器を装着している場合
は上記に加え、人工呼吸器回路
の接続部分(Yピース、人工鼻
フレキシブルチューブ等)の観察
も必要になります。
気管カニューレにしっかり接続
されているか確認します。
又、破損や亀裂などの有無も確認します。
◆応急処置の準備
人工呼吸器の不具合や突然の
停止などで正常に機能しない
場合は手動で人工呼吸をする必要があります。
アンビューバッグ等の必要物品は常に確認しておきます。
◆感染に関する観察項目など
痰の性状や量。
口腔の清潔保持。
痰吸引時の清潔操作。
呼吸器回路の交換や水抜きなどの時の清潔操作。
バイタルサインのチェック。
特に体温の変化に注意します。
◆観察ポイント
対象者の部屋に入って最初に
観察することは対象者の呼吸状態になります。
呼吸器と対象者の呼吸とが同調しているか確認します。
パルスオキシメーターによる
経皮的動脈血酸素飽和度の数値
から換気が十分に行われているか確認します。
ほぼ同時に全身状態も観察します。
その後、呼吸器の設定などの確認をします。
状態に異常がないことを確認
できたら呼吸器回路などのチェックを行います。
感染の徴候を見逃さない為には
痰の観察が重要になります。
性状や量の変化に注意します。
人工呼吸器を装着している場合
は呼吸器との同調や呼吸器の
チェック等が必要になります。
主要電源の位置やバッテリーの
充電などを常に確認することも重要になります。
介護職員等の場合は異常の早期
発見に努め、バイタルサイン等
の数値の異常や患者さんの状態
の変化、呼吸器や気管カニュー
レ等に関する異常等がある場合
は早急に看護師などに報告する
ことが大切になります。
直接的な対策や処置(痰の吸引
や応急処置以外)や判断等は医師
又は看護職員になります。
侵襲的人工呼吸療法
気管挿管や切開気管して気管に
留置した管に人工呼吸器を接続
して呼吸管理を行う療法を侵襲的人工呼吸療法といいます。
在宅では鼻や口からの挿管では
なく気管切開下陽圧換気(TPPV)が主流です。
これに対し口や鼻にマスクを
装着して人工呼吸器を接続して
呼吸管理を行うことを非侵襲的人工呼吸療法といいます。
在宅では非侵襲的陽圧換気(NPPV)が多くなってきています。
続きはこちらです→ 気管カニューレからの吸引
◇参考文献
書籍
「介護職員等のための 医療的ケア 喀痰吸引・経管栄養等の研修テキスト」
公益財団法人 日本訪問看護財団(編) p69~p72
「実践できる在宅看護技術ガイド」学研 p132~p134
「呼吸サポートチームのための呼吸管理セーフティーBOOK」メディカ出版 p224~p226