◆介護職員の場合
高カロリー輸液を受けている方の介護職員が注意することなど。
●中心静脈ラインの固定の確認
在宅でも医療機関や施設でも、まず最初に観察することは、
中心静脈カテーテルが抜けていないかどうか、接続部位が
しっかり接続されているかどうか確認することが大切になります。
カテーテル挿入部位は抜けないようにナイロン糸等で縫合して固定
されていますが、ずれる場合もあります。
●輸液の滴下速度の確認
指示された速度で滴下しているか確認します。
滴下速度が遅い又は滴下していない様であればチューブ自体の
閉塞(圧迫や曲折など)又は血液がルート内で凝固している
可能性もあります。
又カテーテルの位置異常の可能性もあります。
●中心静脈カテーテル挿入部位の観察
挿入部位の発赤やもれ、カテーテルのずれなどがないか確認します。
挿入部位の保護は通常は滅菌ガーゼや透明なドレッシンング
(保護シート、フィルムなど)で保護されています。
透明なものは観察が容易ですが、ガーゼの場合でも漏れが
ある場合は確認できます。
●バイタルサイン
特に発熱の有無に注意します。
中心静脈カテーテルを挿入している場合は、ルートを介して
感染のリスクが高まるため体温のチェックは欠かせません。
その他、呼吸、脈拍の状態も観察します。
カテーテルの位置がずれている場合は先端が心臓に入っている
可能性もあります。
心臓に入ると不整脈を引き起こすことがある為、動悸などの
自覚症状の観察も重要になります。
反対に中心静脈(上下大静脈)より浅い部位に先端がある場合
は輸液が血管外へ漏出する場合もあります。
カテーテルの刺激や血栓が原因で静脈炎を併発する場合もあります。
静脈炎を併発している場合も輸液が胸腔内や縦隔内等に漏出し
呼吸困難を引き起こすリスクがあります。
呼吸状態や頸部や胸部、上肢の発赤や腫れ、痛み等の観察も
重要になります。
●血糖症状
高カロリー輸液の場合は血糖のコントロールが難しい場合も
ある為、高血糖症状や低血糖症状には注意します。
高血糖の主な症状としては喉の渇き、空腹感、多尿、皮膚の
痒み、傷が治りにくい、眠気などがあります。
進行すると意識障害を起こすこともあります。
低血糖の主な症状には、空腹感、悪心、生欠伸、発汗、
手足の震え、倦怠感、動機、不安 などがあります。
進行すると異常行動やさらに意識障害を起こすこともあります。
●介護職員が実施できる対策
介護職員の場合は下記のような異常を確認した場合は担当の
看護師などにまず報告することになります。
チューブの接続部位が緩んでいたり、カテーテルの位置が
ずれている場合、輸液の落下が遅い又は滴下していない、
ルート内に血液が逆流している、挿入部位の発赤、バイタル
サインの異常、自覚症状の訴え(気分不快、動機、呼吸苦、
痛みなど)頸部や胸部、上肢の発赤や腫れ、顔色不良、発汗
手指の震えなど異変があれば速やかに担当看護師に報告します。
異常の早期発見と報告が大切になります。
◆看護職員の直接的なケア
医療機関や施設では中心静脈栄養を受けている方の直接的なケアは
主に看護職員が実施しています。
家庭などで療養している方に対しては主に訪問看護師がケアしています。
●高カロリー輸液の管理
滴下の確認、調節
輸液量の確認
輸液の交換
●中心静脈ラインの管理
接続部位のチェック
ルートの固定の確認
血液の逆流の有無
ルート交換
●カテーテル挿入部位の観察と処置
消毒とガーゼなどの交換、固定
出血などの汚染の有無
カテーテルの位置異常の有無
●症状の観察
自覚症状の有無
疼痛、熱感など
他覚症状の有無
発赤、腫れなど
●バイタルサインのチェック
特に体温と呼吸状態には注意します。
異常があれば担当医師に報告します。
在宅では訪問看護師以外に、ご家族、介護職員の方等がケアに
あたっているところが多いと思います。
直接的な医療行為は出来なくても症状の観察や体温、呼吸、脈拍
血圧の測定、輸液量や滴下の状態、ルートの観察などは可能な為
異常を発見したらすぐに看護師などに知らせることが大切になります。
◇参考文献
書籍
「ナース必携最新基本手技AtoZ」保存版 発行・照林社 発売・小学館
「全科術前・術後マニュアル」 発行・照林社 発売・小学館
「最新医学大辞典」医歯薬出版株式会社
インターネット
ウィキーペディア
//ja.wikipedia.org/wiki/溢出
//ja.wikipedia.org/wiki/高血糖症
//ja.wikipedia.org/wiki/血糖値